大阪湾の淀川河口近くで見つかったクジラについて、大阪市は13日、専門家による現地調査で午前11時10分に死んでいることを確認したと発表した。
死んだのは体長推定15メートルのマッコウクジラで性別は不明。クジラは9日朝に発見され、1メートルほどの高さの潮吹きをしたり、体を動かしていたが11日午後3時ごろからは体の動きが確認できていなかった。
大阪市港区の水族館「海遊館」によると12日午後、大阪市から「クジラの健康状態を確認してほしい」という旨の連絡を受け、海遊館は職員2人を派遣。この日朝からクジラの健康状態を確認した。職員は〈1〉クジラの呼吸孔が水中にあること〈2〉体を動かしていない〈3〉船で近づいた時に腐敗臭がしていたという3点からクジラが死んでいることを確認した。
突然のニュースに大阪港湾局の職員は困惑している。大阪港は貨物などを扱う国際貿易港であるため、クジラを大阪港に引き揚げるのか、近くの漁港にお願いし陸揚げしてもらうのか「検討中です」と話した。さらに15メートル級のクジラをえい航し陸揚げすることは可能なのか、業者が現れるのかなどについても頭を悩ませている。
クジラは内臓の腐敗により死体内部にメタンガスなどが蓄積し、爆発する可能性もある。日本鯨類研究所(東京)によると、死骸は地中への埋設や焼却、沖合で海中に沈めるなどの処理が考えられる。同研究所の田村力さんは取材に、息継ぎをする際に潮を吹く頭部の噴気孔が11日から海中に沈んだままだったとして「何らかの原因で衰弱した状態で、現場に迷い込んだのではないか」と指摘した。
交流サイト(SNS)上では「淀ちゃん」と愛称がつけられ、安否を気遣う声があふれていた。また大阪経済戦略局によるとクジラが死んだ後に「死なせてしまってかわいそうじゃないのか」などの電話が数件あったという。
東京海洋大 海洋環境科学部門 中村玄助教(鯨類学)の解説
「通常、マッコウクジラは沿岸にはおらず、水深の深い海にいる種類。河口付近に迷い込んできた段階で異常でした。また、仮に一度迷いこんできたとしても、元気な個体だったらもっと活発に動き回り、「今日はここに出没した」「今日はこっちか」とあちこちで目撃証言が出るような動きになっていたはずです。一か所にとどまっていたことから、迷い込んだ時点で何らかの病気で衰弱していた可能性が高く、助かる可能性は極めて低い状況でした。
今後は、そのまま放置はできないので、担当している市が中心となって方針を決めていくのだろうと思います。考えられることとして、クレーンやロープなどで引き上げた後、そのまま丸々土に埋める、または、解体して小さくしてから埋めるという選択肢があります。今回は個体が大きく、運搬などのことを考えると解体する可能性のほうが高いでしょう。
さらに、解体したあとは、希望している博物館や研究所があれば骨格標本を作ることも考えられます。ただ、その骨格標本を作るためにも土に埋めて骨にする必要がある。いずれにせよ、3年くらいは土の中に埋めておくことになるでしょう」
報知新聞社
https://news.yahoo.co.jp/articles/a23b14eb34b8e129963bf62ab1f2d7518b794ace
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