メジャーリーグは「指名打者制(DH)」に関する新たなルールを導入しようとしている。本当に採用されたら、最大の被害者は大谷翔平だ。
「アメリカの独立リーグ・アトランティック・リーグで試験導入されたものです。同リーグはMLBと提携して、MLBが考案したシステムを試して効果測定しているのですが、今季からMLBに導入されたピッチクロックや極端な守備シフトの制限も、アトランティック・リーグのテストを経て正式採用されたものです」(現地記者)
そして、4月15日に適用された新ルールが「DHのダブルフック」と「投手板の位置変更」の2つだ。
問題は「DHのダブルフック」制度のほうだ。これは先発投手が5回を投げきれずに降板となった場合、同時にDHも解除されるというもの。つまり、救援投手がDH選手の打順にピッチャーとして入るか、スタメンDH選手は次打席で代打を送られるかの二択になる。
これが採用されれば、どうなるか…。例えば、先発ローテーションが頼りないエンゼルスでは、大谷以外の先発投手が「責任イニングの5回」を投げきる前にKOされる試合が珍しくない。そうするとDHで出場している「打者・大谷」は強制交代になるわけだ。
「大谷の打席数が減れば、ホームラン、打点も減ります。大打撃ですよ」(現地記者)
MLB機構は「ダブルフックDH制」をテストする理由について、「2020年シーズンでは、先発投手の90%が7イニング未満で交代した。先発投手とDHをリンクさせ、先発投手の価値を高めより長いイニングを投げられるようにすることで、終盤の戦術面での多様化に繋がる」と説明する。
「投手・大谷は今季から導入されたピッチクロックに苦しんでいますが、内野シフトの制限には打者・大谷が恩恵を受けています。まず『大谷ルール』と呼ばれる現在のDH制も大谷のためにできたようなものですからね」(同前)
大谷がMLBを動かしているとも言えるが、恣意的なルール変更で振り回されたら、選手もファンも納得しないだろう。
ダブルフックDH制はテストで問題がなければ、早ければ2024年か25年にも導入されると見られている。大谷が二刀流を貫くとしたら、打者・大谷は「DH」ではなく、先発投手の好不調に左右されない「野手」に就くしかない。
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