車内から発見された昨年購入した食パンがカビ一つ生えていない――。そんな驚きのツイートが話題になっている。SNS上では「なんでやろ」「不思議でなりません」と疑問の声も聞かれたが、いったいどういうことなのか。製造元の山崎製パンに聞いた。
発端となったのは先月27日のとあるツイート。投稿者が息子が所持する車を掃除していたところ、車内から山崎製パンの商品『ロイヤルブレッド』が見つかったというものだ。写真に写った『ロイヤルブレッド』はカビ一つ生えておらず、生地も真っ白。先ほどまで店頭に並んでいたといわれても違和感がないほどだ。しかし、賞味期限は2022年8月11日となっており、投稿時点で9か月以上が過ぎた状態である。
このツイートは5日午後3時時点で約9800件のリツイートと約3.2万いいね!を記録。「すげええええええええ!」「ヤマザキの工場は清潔」「どんな味がするのかな?案外焼いたらイケるかも?」「車の中に1年とな…」といった声の他、「嘘だと言ってくれ」「恐ろしい」「これは食べるものじゃ無い」など否定的な声も上がっていた。
いったいなぜ、9か月以上前のパンにもかかわらず、カビが1つもないのだろうか。ENCOUNTの取材に対し、山崎製パン株式会社広報担当者は、「カビが生えない理由の第一は、パンの表面にカビ胞子の付着がなかったためです。今回のツイートの件については、食パンにカビ胞子が全く付着していないものであったと思われます」との見解を示した。
食パンにカビが生える原因について、担当者は「食パンの製造は、通常200~250度で30~40分間の焼成(しょうせい)工程があり、その際の中心部の温度は95度を超えるため、たとえ焼成前にカビ胞子が付着していたとしても、焼成により死滅します。このため、焼成後の冷却、スライス、包装工程で、空気中に浮遊するカビ胞子等が食パンに付着した場合に、カビの生育が始まります。また、お買い求めいただいてから袋の開封後に手で触れることなどで、カビ胞子が付着することもあります。カビの胞子がパンの表面に付着し、胞子が発芽・生育して集落(コロニー)を作ることにより、肉眼で見える大きさになりますが、カビ胞子が全く付着しないものにはカビの発生がありません」と解説。
さらに、「食パンは、ロングライフ製品に使用するようなバリア性のある包装紙を使用していないため、日数の経過とともに食パンの水分が徐々に包装紙から蒸発し、カビが生えない水分活性値(細菌が増殖しやすいかどうかを判断する目安)以下になったことも要因として考えられます」と、別の角度からもカビが生えていない理由を分析する。
ENCOUNT編集部
https://news.yahoo.co.jp/articles/918aa799da8fd2f9b3021f3cf2c2aaea20252db1
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