ポール・ブラウン、ジョシュア・チザム、ショーン・セッドン、ダニエル・パルンボ、BBCヴェリファイ(検証チーム)
パレスチナ自治区ガザ地区のガザ市にあるアル・アハリ病院で17日夜、大きな爆発が起き、数百人が死亡したとみられている。
ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスはすぐに、イスラエルによる故意の空爆だと非難した。イスラエルは関与を否定している。
主張と反論の応酬が続く中、真実にたどり着くことがますます難しくなっている。
BBCヴェリファイ(検証チーム)は、映像や画像、目撃者の証言などの証拠を検証し、何が分かっているのか、あるいは分かっていないのかの解明を試みている。さらに、アクセスが制限されている中で、BBC記者は現場を取材している。
BBCは、兵器の専門知識を持つシンクタンクや大学、企業など20カ所に連絡した。うち9カ所からはまだ返信がなく、5カ所はコメントを控えるとしたが、
残りの6カ所に所属する専門家に話を聞くことができた。
BBCは専門家らに対し、爆発の大きさやその前に聞こえる音などの入手可能な証拠から、病院での爆発の原因を突き止めることは可能かをたずねた。
今のところ、決定的な発見はない。私たちが話を聞いた3人の専門家は、大型の弾薬を使った典型的なイスラエル軍の空爆から予想されるものと、今回の証拠は一致しないと言う。
米ヴァンダービルト大学のJ・アンドレス・ギャノン助教授は、地上での爆発は小さいように見えるとし、衝撃で発生した熱は、弾頭の爆発ではなく、ロケット弾の燃料の燃え残りによるものかもしれないと述べた。
イギリスの王立防衛安全保障研究所(RUSI)の上級リサーチ・フェロー、ジャスティン・ブロンク氏も、この意見に同意した。
初期段階での確定は難しいものの、証拠からは、故障したロケット部分が駐車場に衝突し、燃料と推進剤の火災を引き起こしたことで爆発が起きたことがうかがえると、ブロンク氏は述べた。
ギャノン助教授は、確認した映像だけでは、ロケット弾が意図した標的に命中したかどうかを判断することはできないと述べた。また、上空で閃光(せんこう)が走ったことから、発射されたロケット弾のエンジンがオーバーヒートし、作動しなくなった可能性が高いと語った。
リスク評価企業シビリンの中東アナリスト、ヴァレリア・スキュート氏は、イスラエルはドローンを使った空爆を実行する能力を持っており、そこでは空対地ミサイル「ヘルファイア」が使われるだろうと指摘する。ヘルファイアは大量の熱を発生させるが、必ずしも大きなクレーターを残すわけではない。
しかしスキュート氏は、確証のない映像を見る限り、病院の敷地内での火災のパターンは、この説明とは一致しないと述べた。
BBCは、一般に入手可能な人工衛星の画像から、アル・アハリ病院の建物の位置関係の詳細を一致させた。これにより、この病院が爆発の現場だと特定した。
入手可能な証拠によると、爆発は病院の敷地内の中庭で起きたようだ。爆発後の地上の画像では、周囲の病院の建物には大きな被害がない。
見えるのは、焦げた跡と焼け焦げた車だ。https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/E7AB/production/_131470395_crater1-nc.jpg(画像)
最も重要な証拠の一つとして、爆発によって残されたクレーターの性質が挙げられる。IDFは、大きなクレーターや隣接する建物への爆風被害がないことが、今回の爆発が武器によるものではないことを証明しているとしている。
下の画像では、小さなクレーターが一つ見えるが、BBCは他の痕跡を調査中だ。https://ichef.bbci.co.uk/news/707/cpsprodpb/183EB/production/_131470399_crater12-nc.jpg(画像)
まだ見つかっていない証拠の中で重要なのが、ミサイルの破片だ。ミサイルはその砲弾の残骸によって識別できることが多く、飛翔体の出どころを特定するのに使える。しかし、今回はその証拠が見当たらない。
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