韓国統計庁は2月28日、女性が産む子供の数の指標となる「合計特殊出生率」が、2023年は0.72だったと発表した。
一昨年の0.78から0.06ポイント下がったことになる。これは過去最低であり、8年連続で前年を下回った。
絶望的な出生率
韓国で2023年に生まれた子供の数はおよそ23万人と過去最低であり、10年前のおよそ半分だ。専門家によれば、現在5100万人の人口が2100年までに半減する可能性があると、カタールメディア「アルジャジーラ」が報じている。
「韓国の女性が生涯に産むと予想される赤ちゃんの平均的な人数は、2022年の0.78人から0.72人に減少した。2024年にはさらに減少し、0.68人と予想されている」
首都ソウルは減少傾向が特に顕著で、出生率は0.55と国内最低だった。
2018年以来、経済協力開発機構(OECD)加盟国で出産率が1を下回っているのは韓国だけだ。
さらに、韓国女性が初めて出産する年齢は、平均して33.6歳。これはOECD加盟国の中で最も高齢だ。
英紙「ガーディアン」によれば、韓国政府は2006年から「補助金やベビーシッターサービス、不妊治療への支援など、カップルがより多くの子供を産むことを奨励するプログラム」に多額の投資をしてきた。その額は約20年間で合計およそ379兆8000億ウォン(約42兆円)に達すると英「BBC」は報じている。
このままでは、50年後には韓国の労働人口が半減し、兵役に従事できる人数は58%減少し、人口のほぼ半数が65歳以上になる。
韓国では現在、子供のいる夫婦は給付金や住宅補助を与えられ、無料タクシーを使うことができる。結婚している人に限り、通院や体外受精の費用も補償されるという。だがこうした制度は、人口減少の歯止めをかけるのに役立っていない。
BBCの取材に対し、人事職に就く28歳のある女性は「産休を取った後に仕事を辞めざるを得なくなったり、昇進のチャンスを奪われたりする女性たちを見てきました。なので、私は絶対に子供を産まないと決めています」と語っている。
韓国の女性はOECD諸国のなかでも特に高学歴であるにもかかわらず、男女間の賃金格差は最悪だ。女性の失業率は男性に比べて高い。
さらに、仕事を辞めて子育てをしたい、あるいは家庭とキャリアを両立させたいと思っても、家賃が高すぎるために叶わないと語る女性もいる。
韓国の人口の半数以上が首都ソウルに集まっているが、フルで共働きをしないと生活が成り立たない状況だ。
そのうえ子供を産んだ場合、習い事にかかる費用が大きいという。
韓国では、子供たちは4歳頃から「数学や英語、音楽からテコンドーに至るまで、さまざまな高額な課外授業に通わされることが当たり前」だ。
教育にまつわる競争が激しい韓国では、こうした教育を子供に与えないという選択肢は考えられない。そのため同国は結果として、世界で最も子育てにお金がかかる国となっている。
2022年の調査では、子供を有償の習い事に通わせていない親はわずか2%だった。だが94%が、経済的負担になっていると回答している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0a308e6249da6e1892f72be4b5f4715e82f7f63
「韓国でなければ100%産んでいた」出生率0.72、弁護士の見方
https://www.asahi.com/articles/ASS2W6S76S2WDIFI00N.html#:~:text=%E5%B0%91%E5%AD%90%E5%8C%96
子どもを産まない選択をする「出産ストライキ」中というチョンさんは「韓国に住んでいなかったらほぼ100%、子どもを産んでいた」と話す。優秀な先輩や同僚が出産でキャリアが途切れて、元のポジションに戻れない姿を数多く見てきたためだ。
「韓国の少子化は女性差別が根本的原因だと考えている。女性のキャリア維持が価値あるものだという認識があれば、社会がここまで出産に敵対的な方向に向かわなかった」
女性の6割が非正規職とも言われる韓国。大企業なら出産や育児のサポートが整っているが、そうではない職場の方がずっと多い。「マタハラ」で職場を追われるケースも弁護士業務で数多く見てきたという。
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