中古車販売大手ビッグモーター(東京)が愛知、三重、高知、宮崎各県の計4店舗を8月末に閉鎖し、近隣の店舗に統合したことが2日、分かった。同社は自動車保険の保険金不正請求問題で経営が悪化しており、関係者によると、店舗統廃合は合理化の一環。
ビッグモーターは借入金の借り換えを取引銀行に応じてもらえず、8月に90億円を返済した。資金流出を抑えることが会社存続に向けた最優先課題で、店舗戦略を抜本的に見直すかどうかが焦点となっている。
閉鎖店舗は大府(愛知県大府市)、四日市日永(三重県四日市市)、高知(高知市)、宮崎神宮(宮崎市)でいずれも比較的規模が小さかったという。公式サイトで店舗名を検索しても情報が表示されなくなっている。
統合先は大型店舗で名古屋茶屋(名古屋市)、四日市(四日市市)、高知土佐道路(高知市)、宮崎(宮崎市)。既に買い取りなどの業務を引き継ぎ、顧客からの問い合わせに応じている。
同社の不正請求問題を追及し続けてきた自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏によると、閉鎖された4店舗はどれも「サテライト店」と言われ、買い取りと販売を主体としている。過去にも店舗の統廃合はあったが「一連の問題以降、店舗の売り上げは大きく落ち込んでおり、今後も閉鎖、統廃合は続く」とみる。
8月31日には和泉伸二社長が従業員向けに「存続をかけた本気の戦いがはじまる」などとしたメールを送った。ただ加藤氏は「現場では展示車両が壊されるなどの被害が相次いでおり、正常化には程遠い状況」と指摘。全国の店舗を巡る幹部が「1円でも多く稼げ」とプレッシャーをかけているとし「従業員の信頼回復が再建の鍵だが、本部の内側でも足並みがそろっていないのが現状」と明かした。元従業員によるパワハラの告発や不当解雇訴訟など問題は山積しており、負の連鎖はとどまりそうにない。
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