この寝たきり老人が多いことの原因こそが、日本医療制度の欠陥の原因とも言えるのだ。
なぜ、日本にこれほど寝たきり老人がいるのかというと、医療現場では、「とにかく生存させておくこと」が善とされ、点滴、胃ろうなどの延命治療が、スタンダードで行われているからだ。
自力で食べることができずに、胃に直接、栄養分を流し込む「胃ろう」を受けている人は、現在25万人いると推計されている。
これらの延命治療は、実は誰も幸福にしていないケースが多々ある。寝たきりで話すこともできず、意識もなく、ただ生存しているだけ、という患者も多々いるからだ。
日本の場合、親族などが望んでいなくても、一旦、延命治療を開始すると、それを止めることが法律上なかなか難しいのだ。
「自力で生きることができなくなったら、無理な延命治療はしない」ということは先進国ではスタンダードとなっている。日本がこの世界標準の方針を採り入れるだけで、医療費は大幅に削減できるはずだ。
なぜ日本がそれをしないかという一因は、この延命治療で儲かっている民間病院が多々あることだ。そういう民間病院が圧力をかけ、現状の終末医療をなかなか変更させないのだ。
「もう死ぬということがわかっているときには、安らかに死にたい」と多くの人が思っているはずだ。しかし、現在の日本の医療システムはそれを許さない。脳波があり、心臓が動いている限りは、あらゆる装置を使って一日でも長く生きさせようとするのだ。
それは、本人のためでも家族のためでもない。ただただ開業医の利益のためとさえ言ってよいと著者は思う。ここでも「開業医の横暴」が、
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