世田谷事件は2000年12月31日午前11時前、東京都世田谷区上祖師谷3丁目の会社員、宮澤みきおさん(当時44歳)宅で、みきおさんと妻泰子さん(同41歳)、長女で小学2年のにいなちゃん(同8歳)、長男で保育園児の礼君(同6歳)の4人が惨殺されているのが見つかった凶悪事件である。
韓国マフィア元ボスの情報提供から独自取材した結果、私が突き止めた事件の筋書きは次の通りだ。
都内に住む元宗教団体幹部、金田秀道(仮名)が事業失敗で多額の資金を必要として、宮澤家に隣接する都立祖師谷公園拡張に伴う移転補償金など1億数千万円を狙って犯行を計画した。
そして、言葉の発達が遅かった礼君の発育支援と称して一家に近づき、自分に心酔する李に自分をよく知る家族四人を殺害させたうえ、現金や預金通帳、自分との繋がりが分かってしまう書類や年賀状などを物色させ、奪い取らせたーー。
「李は金田から『宮澤さん一家は教団の正義実現に仇なす敵』と聞かされ、それを倒すことが使命と教え込まれていた。彼の命令に絶対服従だった李は徹底的に実行したが、後に周囲からカネ目当ての犯行だったと知らされ、心服していた分だけ怒りを爆発させたらしい」(前出の韓国マフィア元ボス)
未解決事件には2つのケースがある。1つは捜査が及ばずどうしても犯人の特定や逮捕が出来ないケース。もう1つは“何らかの事情”で未解決事件となってしまうケース──そして元公安幹部が未解決事件の“3大要素”として示唆した「外交」「政治家」「宗教」。
世田谷事件もこの3大要素が存在するがゆえに未解決事件となったのか──? 元公安幹部は深い証言をした。
「初動捜査も通常通り行って、犯人もある程度の特定はできた」
犯人もある程度の特定はできた──ならばなぜ犯人を逮捕しないのか? それは世田谷事件が前述の三大要素が絡むがゆえの未解決事件であることに他ならないからである。
つまり世田谷事件は厳密に言えば未解決事件ではない。犯人を特定していながら逮捕できない「解決不能事件」なのだ。
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