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命を救うはずのワクチンだが、接種を繰り返すとなぜか死者が増えていた。原因はコロナか、がんや心疾患か、それとも別に要因があるのか。一体、いま日本で何が起きているのか──データとデータを重ね合わせて読み解くと、ある不都合な真実が見えてきた。
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接種開始の時期と死者増加の時期が一致
新型コロナのような感染症はその感染症で亡くなったと診断された患者以外にも、検査をせずに亡くなった感染者や、感染が原因で基礎疾患が悪化して亡くなった患者などが多数生じる。そうした感染症の全体図を把握したいときに用いられるのが「超過死亡」だ。
超過死亡とは、過去の統計から見込まれる死者数の推定値を、実際の死者数がどれだけ上回ったかを示す数値のこと。感染症がないときの平年の国の総死者の推定値と、感染症が流行したときの総死者数を比べれば、「感染症によってどれだけの人が死亡したのか」を導き出せる、という理屈である。
実際にコロナ初期の2020年3月中旬から11月のアメリカの超過死亡は少なくとも約36万人に達し、第二次世界大戦の4年間における同国の戦闘死者数29万人をはるかに上回った。それだけコロナは未曽有の災害だったわけだ。
感染症の“実態”を示す超過死亡は、日本では厚労省がインフルエンザを対象に推定を行ってきた。コロナではそれを応用する形で、国立感染症研究所(感染研)が「日本の超過および過少死亡数ダッシュボード」を公表している。
ここでも目立つのは2022年の数字の伸びだ。2022年2月の超過死亡は最小1万3561人~最大1万9944人、2022年8月は最小1万2232人~最大1万7968人だった。超過死亡が示す最大の死者数は、厚労省の人口動態統計速報とほぼ一致することも読み取れる。
この人たちはなぜ亡くなったのか。感染研の鈴木基感染症疫学センター長は戦後最大とされる超過死亡の要因について、「新型コロナ感染の流行」や「それに伴う医療逼迫の可能性」を主張し、大手メディアもこの説に追随する。しかし前述の通り、コロナと直接関係する死者は超過死亡ほど増えていない。「感染が拡大した2月や8月は医療が逼迫して入院できず、コロナ以外の疾患で亡くなったのでは?」という主張も疑わしい。
「第7波は感染力の強いオミクロン株が主流になって感染者数こそ過去最大でしたが、ウイルスが弱毒化して重症者数は激減しました。感染拡大ピークの8月中旬から下旬でも病床には余裕があり、医療逼迫による死者の増加は考えにくい」(森田さん)
小児がんや難治性血液病の専門家で、遺伝子治療やワクチンに詳しい名古屋大学名誉教授の小島勢二さんもこう指摘する。
「日本における最大の死因はがんです。コロナの流行で医療が逼迫するとがんの診断や治療が遅れて死者が増えるはずですが、人口動態統計でがんの死者は増えていません」
高齢化や自殺を要因とする説もある。確かに超高齢化が進んだ日本は年々死者が増えているが、その数は月平均で1500人や2000人にとどまる。コロナによって増えたとされる自殺者も2022年2月の段階で大幅な増加は見られない。では何が戦後最大の超過死亡を招いたのか。ひとつの可能性として森田さんが指摘するのが「ワクチン接種」だ。
「死者が増加した2月と8月はワクチンの3回目接種、4回目接種の時期と一致します。コロナ感染が増えた結果、ワクチン接種が増えたとの反論もありますが、実際のデータを見るとコロナ感染が始まる前にワクチン接種数が伸びています。統計的には3回目接種、4回目接種と回数を重ねるほど死者数との相関が強くなっています」(森田さん)
小島さんが続ける。
「感染研のダッシュボードを見ると、3回目、4回目ワクチンの接種開始から10週間後にあたる2月、8月に超過死亡が観察される時期が始まっています。ワクチンの接種回数の推移と超過死亡の推移は一致しており、ワクチンの接種開始と超過死亡発生との時間的な関連は明白です」
2022年2月に開催された厚生科学審議会で前出の感染研の鈴木感染症疫学センター長は、「超過死亡はワクチン接種の増加に先立って発生した」と主張し、超過死亡とワクチン接種の関連を明確に否定した。だが、小島さんはこれに反論する。
「2022年2~3月に観察された超過死亡は追加接種が増加した時期に一致しており、鈴木氏の主張はあたりません。また、感染研は2022年6月に超過死亡のデータの集計方法を突然変えました。変更前のデータと比べて、変更後は高齢者のワクチン接種が始まって以降の『1週間あたりの超過死亡』の増加が観察された週数が、大幅に伸びています」
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