「週刊文春」編集部
長崎県壱岐市で3月1日から行方不明になっていた高校2年生の椎名隼都君(17)が20日、壱岐島の離島、原島の海岸で遺体で発見された問題。椎名君と同居していた離島留学生が、新たに里親の虐待を「週刊文春」に告発した。
椎名君は壱岐市の離島留学制度で来島し、里親のAさん宅でホームステイしていたが、「週刊文春」は3月16日発売号で里親の虐待疑惑を報道。留学生の一人は以前、小誌の取材にこう証言していた。
「隼都君はAさん宅に来た時からスマホを没収されており、それを取り戻そうとすると怒鳴られ、叩かれていたそうです。Aさんの家には当時、7名の留学生がいましたが、食事の量がAさん一家4名よりも明らかに少なかったと。去年の夏には、夜遅くまでゲームをしていたバツとして、隼都君ら複数の留学生が台風の暴風雨の中、山の上まで連れ出され、正座させられたそうです」
Aさんの反論に対し、「嘘ばかり」と別の留学生が告発
一方のAさんは3月21日配信の「NEWSポストセブン」の取材に応じ、「隼都君は一度しか叩いていない」「日常的に体罰を与えていたことはない」と小誌記事に反論した。
また、壱岐市の「いきっこ留学制度」を担当する壱岐市教育委員会の久保田良和教育長もこう語る。
「日常的に叩かれたり怒鳴られたりしていたら、椎名君は3年半もそこ(Aさん宅)にいるわけがないんです。それだけ、親代わりで優しくされていたということだと思うんですね。今後は定期的に質問用紙を用意して、子どもたちの声をちゃんと聞けるようにしていきます」
こうした反論に対し、以前Aさん宅で椎名君と同居していた留学生Bさんは「嘘ばかりついて、あり得ない。本人が自覚していないとしか言いようがない」と重い口を開いた。
「このままでは何もなかったことにされてしまうので話します。去年の夏休みの直後、隼都君がスマホをAさん夫妻の寝室から持ち出そうとしたのがばれて、僕も連帯責任で怒られました。その時、奥さんがテーブルに置いてあったお盆を滑らせ、隼都君に勢いよくぶつけていました。奥さんは隼都君によく『キモい』『泥棒』と言い、他の留学生を日常的に怒鳴っていた。Aさんも『朝の挨拶の声が小さい』といった理由で留学生を叩いていました」
前出の留学生もこう続ける。
「隼都君は昨年から今年にかけて、里親から少なくとも5回以上は叩かれていたと聞きました。平手でかなり強く、顔以外の上半身を叩くことが多かった。ほかの留学生もルールを破れば叩かれたり、髪の毛を掴まれたりしていたようです」
こうした告発にAさんはどう答えるのか。3月27日、本人に聞いた。
「僕らの中ではそういう気持ちっていうのは親心」
――本当に椎名君のことは1回しか叩いていない?
「それは本当です。あとは恫喝することはありましたけど。恫喝は要するに(椎名君が)死にたいと言った時にね。『その言葉は二度と出すなよ』ってことで」
――奥さんが椎名君にお盆をぶつけたりしていた?
「ええ……いや、覚えていないですね」
――奥さんが椎名君に「キモい」と言った?
「嫁さんも警察に聞かれて説明していましたけど、それは隼都にじゃない。誰かにではなく、何かに対してだと思うんですけど」
――改めて虐待だと思うか。
「……世間一般的に見れば、虐待ですよね。でも、僕らの中ではそういう気持ちっていうのは親心と思って。でも結果は結果なので(椎名君の)気持ちを読み取れなかった。しかも長いこと」
一方、留学生の保護者の一人はこう訴える。
「一歩間違えば自分の子どもが椎名君のようになっていたと思うと、他人事ではないなと。うやむやにせず真相を究明してほしい」
3月29日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」及び3月30日(木)発売の「週刊文春」では、椎名君が行方不明になり発見されるまでの状況や、学校での様子、Aさん宅で留学生が受けていた仕打ち、“里親ビジネス”の実態などについて詳報する。
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