銀座の高級店強盗、闇バイトの可能性 逮捕の10代4人「初めて会った」 手荒な強盗が相次ぐのは…
東京・銀座の高級腕時計店で8日にあった強盗事件で、警視庁少年事件課は9日、事件直後に東京都港区のマンションに侵入したとして、邸宅侵入などの疑いで、横浜市に住む16-19歳の男4人を現行犯逮捕したと発表した。警視庁は4人の身柄を確保したマンションの。敷地内で、腕時計三十数点が入った黒いバッグを押収。強盗に関与したとみて調べる。
4人は無職の16歳と高校生の18歳、アルバイトの19歳と職業不詳の19歳。逮捕容疑では、8日午後6時40分～7時20分、港区赤坂のマンションに侵入したとされる。高校生は容疑を否認し、他の3人は認めている。
捜査関係者によると、4人はいずれも「知り合いではない。初めて会った」と話しており、少年事件課は「闇バイト」で集められた可能性があるとみている。4人のうち3人が実行役、1人が運転役とみられる。
強盗事件は8日午後6時15分ごろ、中央区銀座の「クォーク銀座888店」で発生。覆面姿の男3人が店員らにナイフのような刃物を示して「殺すぞ」などと脅し、100点以上の腕時計を奪って複数の黒いバッグに入れ、店の前に止めたレンタカーで逃走した。レンタカーは事件の十数分後、赤坂のマンション近くで見つかり、警視庁はマンション内にいた4人の身柄を確保した。
捜査関係者によると、レンタカー付近の路上には覆面が落ちており、黒いバッグの一つは敷地内の植え込みに残されていたという。
レンタカーのナンバープレートが付け替えられていたほか、身柄確保時の服装が犯行時の服装と異なることから、少年事件課はグループが周到な準備をしていたとみている。
◆「必ず捕まる」と思えない若者増えた？
東京都内では3月以降、貴金属店や宝石店のショーケースをバールでたたき割るなどする手荒な手口の強盗事件が相次いでいる。容疑者として逮捕されているのは、銀座の腕時計店強盗と同様、20歳前後の若者たち。識者は「背後に指示役がいる可能性はあるが、あまりにも短絡的。人生が台無しになるリスクが大きいことを肝に銘じてほしい」と指摘している。
「バリン」「ガシャン」。8日午後6時過ぎ、銀座の腕時計店強盗の目撃者が撮影した動画には、覆面を着けた黒ずくめの男3人が次々と、ショーケースをバールのようなものでたたき割る様子が写っていた。男たちはちゅうちょすることもなく、淡々と作業しているようにも見える。
都内では3月14日～5月7日、他にも渋谷区神南、同区神宮前、台東区上野の貴金属店など計4店で、ショーケースがたたき割られる強盗事件が起きた。既に逮捕された実行役は、10代後半から20代前半が目立つ。
捜査関係者は「このような手荒な犯行に及べば必ず捕まるということを見通せない若者が増えているのではないか」と驚きを隠さない。
東洋大の桐生正幸教授（犯罪心理学）は、「ルフィ」を名乗る人物らが指示したとされる一連の広域強盗事件の影響を挙げ、「若者が『簡単に金を稼げる方法』として強盗に目を向けた可能性がある」と指摘する。強盗罪の法定刑は5年以上の懲役。桐生教授は「冷静に考えて踏みとどまってほしい」と呼びかけた。（山田雄之）
東京新聞 2023年5月9日 21時46分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/248942
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