「性的」と指摘、フェミニスト議連に抗議署名4万件 千葉県警が女性Vチューバー出演の動画削除
千葉県警は、ツイッターやユーチューブで公開していた交通ルール啓発動画について、出演していた女性バーチャルユーチューバー(Vチューバー)の容姿が「性的だ」との指摘を受けて削除した。これに対し、表現の自由の観点からネット上で抗議の動きも出ている。(加藤豊大)
◆議連「見解しっかりまとめ発表」
動画は、セーラー服のような衣装を着た同県松戸市のご当地Vチューバー「戸定梨香とじょうりんか」が出演し、県警が7月にネットで公開。全国フェミニスト議員連盟は8月に「腹やへそを露出し、極端なミニスカートで性的だ」などとする文書を県警などに提出し、9月上旬に動画は削除された。
キャラクターの所属事務所は「女性蔑視や性的な意図はない」と反論。「表現行為への偏見や差別」として、同議連の対応に抗議するネット署名も実施されている。
署名は、Vチューバーの活動に関心を持つ各地の市区議会議員らが中心となって9月10日に開始。同議連に対し「服装や体形を理由に性的な描写だと決め付けるのは、多様性と自由を認めるフェミニズムと矛盾する」などと主張する。21日現在、4万6000件余の署名が集まっている。
こうした動きを受け、全国フェミニスト議員連盟の女性議員は取材に「議連として見解をしっかりまとめ、後日あらためて発表することになる」と語った。
◆Vチューバーの所属事務所「自由な表現萎縮につながる」
松戸市のご当地Vチューバーが「性的だ」との指摘を受け、出演した県警の啓発動画が削除されたことに対し、所属事務所「アート・ストーン・エンターテイメント」(同市)の板倉節子代表は「自由な表現の萎縮につながりかねない」と反論する。「女性の社会進出や権利を訴えたい思いは(全国フェミニスト議員連盟とも)同じはずだ」と訴えている。
Vチューバーは同市を拠点に活動する「戸定梨香」。地元の国指定重要文化財「戸定邸」や名産のナシにちなみ命名され、昨年四月の誕生。動画投稿サイトで松戸の魅力を発信し、各施設で大型スクリーンを介して住民らと交流するなど地域に根差してきたという。
全国フェミニスト議員連盟から「性的だ」と表現されたことについて、板倉代表は「(戸定梨香として画面上に映る)女性タレントが、見た目や年齢にとらわれず『なりたい姿』を表現するためにデザインされた。自己表現の一つで、女性蔑視や性的な意図は全くない」と反論する。
その上で、「主観的な判断を押し付けて動画を削除して終わりではなく、話し合いで理解を進めなければ他のクリエーターの活動にまで悪影響が出てしまう」と語った。
東京新聞 2021年9月21日 22時57分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/132305
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