警視庁は9月9日、電動キックボードで年配の女性と衝突し、ケガを負わせて逃走したとして埼玉県吉川市の無職、伊藤明理那(めいりな)容疑者(23歳)を自動車運転死傷処罰法違反と道路交通法違反の疑いで再逮捕した。現場の目撃情報とともに、規制緩和された電動キックボードの危険性について考える。
「ご年配の女性の方はお腹のあたりを押さえていて少し痛そうにしてましたけど、事故を起こした若い女性は反省するどころか、ふてくされたような表情でした」(目撃者)
事故現場は東京・池袋駅の脇、東口と西口をつなぐ最短通路となる歩道で、多くの歩行者が行き交うこともあって自転車通行は禁止。自転車で走行すると警備員に降りるよう指示される場所だ。
9月6日午後3時50分ごろ、この付近でレンタル電動キックボードを運転し、60代の女性と衝突後、逃走をはかった伊藤容疑者だが、駆けつけた警察官に取り押さえられたという。
社会部記者が解説する。
「警察官の腕をペットボトルで叩いたとして、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕され、その後、道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで再逮捕された。被害女性は肋骨を折る重傷を負っているが、伊藤容疑者は『キックボードと歩行者は当たっていないと思うが、転倒したのは私が原因』と一部、容疑を否認している」
現場で一部始終を目撃していた近隣店舗の従業員は「おばあさんが転倒しても悪びれる様子なく、謝りもせず、まるで『勝手に転んだだけでしょ?』って感じで逃げようとしたみたいです。すごく態度が悪くて警察に対して口答えしてるような口調でした」と話す。
しかし、逮捕後、事の重大さに気づいたのか、搬送される伊藤容疑者の頬には涙がつたっていたという。
伊藤容疑者はSNSに友人とキャンプ場やサーキット場に遊びに行った写真をしばしば投稿するなど充実した日々を送っていたなかでの、今回の事故だった。
親子でふたり乗りする電動キックボーダーも
また、伊藤容疑者は事故時の走行速度については「10キロ以上出ていた」と供述。
電動キックボードについては、7月1日の道路交通法改正によって電動キックボードをふくめた特定小型原動機付自転車は16歳以上は免許不要で、最高速度を時速6キロ以下の設定に切り替えるなどしていれば、歩道や路側帯での走行も可能となっている。
しかし、伊藤容疑者が使用していた電動キックボードは最高速度20キロに設定されており、法律上は歩道を走行できない状態だった。
そもそも電動キックボードにまつわるトラブルは、7月の道交法改正以前からも起こっていたが、そこにさらなる規制緩和がなされたことで、このような事故が頻発することは懸念されていた。
日頃から電動キックボードにヒヤリとさせられているタクシードライバーたちは、その危険性をこう指摘する。
「電動キックボードの利用者は歩行者気分が抜けてない人が多いけど、あれはもう車だからね。歩道でも明らかに(時速)6キロ以上出してるだろって人もよく見ますよ」(50代男性)
「まだ乗り慣れていない人が多いのに、自転車と違って簡単にスピードが出るから危ないですよね。
私も歩行者とぶつかりそうになってる電動キックボードを何回見たかわかりませんよ」(50代男性)
「一番危ないのはふたり乗り。たまに親子で乗ってたりもするけど、子供の命が大切じゃないのかって思いますね。電動キックボードの利用者はかなり増えてるから、今後もこの手の事故は増えるんじゃないですかね」(40代男性)(抜粋)
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