日本タイトルをめぐる「異例の状況」が続いている。ズバリ、王座空位の階級が多いのだ。最新の2023年1月度日本ランキング(1月末日発表)によると、「日本チャンピオン」はバンタム級 堤聖也(角海老宝石)、スーパーフェザー級 坂晃典(仲里)、ライト級 宇津木秀(ワタナベ)、スーパーウェルター級 出田裕一(三迫)、ミドル級 国本陸(六島)、そしてヘビー級 但馬ブランドンミツロ(KWORLD3)の計6名。日本ランキングは実質的にミニマム級からミドル級までの13階級にヘビー級を加えた計14階級だから、半分以上の階級がチャンピオン不在となっている。これはちょっと記憶にない。
なぜこんな事態に陥ったのか。ひとつに、最近タイトルの返上が相次いだことが挙げられる。フライ級 ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)、スーパーライト級 平岡アンディ(大橋)、フェザー級 阿部麗也(KG大和)、スーパーバンタム級 古橋岳也(川崎新田)と、今年に入ってからだけでも4名のチャンピオンが日本タイトルを返上、当然その階級は空位となった。
引退の古橋以外はいずれも世界タイトルを本格的に目指す過程での返上である。日本と世界の間にOPBF(東洋太平洋ボクシング連盟)、WBO(世界ボクシング機構)アジアパシフィックの2つの「地域王座」もある現代においては、日本チャンピオンが必ずしも国内で最強のボクサーだと言い難いのも事実だろう。そうであっても、チャンピオン欄がスカスカの日本ランキングは実に寂しいものがある。
■続く試合前の不運
もっともこの惨状も一時的なもの、王座が空けば決定戦で次のチャンピオンが決まり、少なくとも順次空位の階級は埋まっていく―と思われた。ところがこれがスムーズに行っていない。この2月に予定されていた日本王座決定戦2試合がともにキャンセルとなってしまったのだ。
まず14日の日本スーパーフライ級王座決定戦は、同級1位・川浦龍生(三迫)-同級3位・橋詰将義(角海老宝石)のカードが決まっていたが、橋詰が練習中に腰を痛めたことで出場不可能に。
川浦は昨年12月に行われるはずだった同級王座決定戦でも、当時の対戦相手のケガで試合が流れたから、何とも不運。スーパーフライ級の王座はいましばらく空位の状態が続くことになった。
そして16日に予定された日本ミニマム級王座決定戦。元OPBF(東洋太平洋ボクシング連盟)チャンピオンの小浦翼(E&Jカシアス)と新鋭・高田勇仁(ライオンズ)による魅力的な組み合わせだったものの、こちらは小浦が減量に失敗し脱水症状を起こしたため計量を棄権。試合前日になって中止となった。
ドクターストップの選手に強行出場を強いるわけにもいかないが、頭を抱える関係者も多いだろう。
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