2021年12月27日
まいじつエンタ
『ウルトラマン』人気が海外で爆発!“スーパー戦隊”を追い抜かした裏側
特撮文化といえば、日本が世界に誇るサブカルチャーの一大ジャンル。『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』シリーズは、毎年新作が発表されるほど人気だ。他方で『ウルトラマン』は“オワコン”扱いされることも多かったものの、最近ではそんなイメージとは真逆の事態が起こっている。
「ウルトラマン」が「スーパー戦隊」を超えた理由
特撮作品の元締めである「バンダイナムコホールディングス」の決算資料を見てみると、「ウルトラマン」というコンテンツがいかに成長しているのか分かる。2021年8月に発表された「第1四半期(2021年4〜6月)」の決算では、「ウルトラマン」のグループ全体の売上高は25億円。これは前年同期比で92.3%増という数字だった。
ちなみに同じ資料によると、「スーパー戦隊」の売上高は前年同期と変わらず14億円。前年には「ウルトラマン」を上回っていたものの、今年の大成長によって追い抜かれてしまっている。
なぜこのような逆転劇が起こったのか。「スーパー戦隊」の売り上げが急落していることは有名だが、ここでは「ウルトラマン」が躍進している理由について考えてみよう。
1つの要因として挙げられるのは、ここ数年で“海外人気”が爆発したことだろう。まずその兆候が見られたのは、2020年6月から放送された特撮ドラマ『ウルトラマンZ』。クオリティーの高さから海外視聴者からも評価され、YouTubeで本編が配信された際には英語によるコメントが溢れかえっていた。
その後、MARVELコミックスより、漫画『THE RISE OF ULTRAMAN』が発行。Netflixではアニメ『ULTRAMAN』が配信されるなど、海外進出が顕著となった。さらにオリジナルYouTubeドラマ『ウルトラギャラクシーファイト』の英語吹替配信など、海外ファンがアクセスしやすい環境が整いつつある。
そうした施策の影響か、「円谷プロ」のYouTubeチャンネルに投稿される動画にはいずれも英語圏からのコメントがびっしり寄せられている状況だ。
「円谷プロ」は“海外展開の強化”を公言していた
かなり好調に見える「ウルトラマン」シリーズの海外展開。しかし実は、昨年頭までは「海外展開が自由にできない」という枷がかけられていた。その原因は、ユーエム社との著作権問題。日本を除く全世界での利用権を継承したというユーエム社の訴えにより、「ウルトラマン」は海外展開が難しい状態だったのだ。
しかし2020年3月、「円谷プロ」が裁判に勝訴。この際のコメントで、「円谷プロ」は《現在進めているウルトラマン作品の積極的な海外展開をより一層強化し加速させていく所存でございます》と海外出展への熱意を露わにしていた。現在の「ウルトラマン」シリーズの大成功は、まさに有言実行の結果だったと言えるだろう。
さらに今後、庵野秀明監督の映画作品『シン・ウルトラマン』も公開を控えている。同作は2021年1月に特報が流れた際、『パシフィック・リム』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督が喜びのツイートを投稿するなど、海外でも注目を集めていた。成功すれば、「ウルトラマン」人気はますます勢いを増すのではないだろうか。
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