2021年9月。新年度が幕を開けた中国の幼稚園で、異様な事態が続出している。
「第2子」を含む3~5歳の幼児たちが続々と幼稚園入園の時期を迎えているが、新入園児はとにかく男、男、男、男と男児ばかりで、女児が異常に少ないのだ。
「3歳の娘の私立幼稚園はクラスの男児が24人、女児が5人。なかなか仲良しの友達ができなくて、男の子たちが園庭で賑やかに遊んでいる時間に、娘はいつもタブレット端末でひとり寂しくアニメを視聴しているみたいなの」
「ウチの子のクラスは男児25人、女児8人。お遊戯をするときや昼食の時間、娘はいつも男児とペアリングされるの。とにかく圧倒的な男社会だから仕方ないわね。保護者会で、娘と女児が触れ合いやすい環境づくりを園に訴えたのだけど、どうにもならないって」
「幼稚園っていうかもはや“男児園”にごくわずかな女児が間違って紛れ込んじゃった感じ。ウチのクラスは男児30人、女児3人。何もかもが男の子中心の環境だから、娘はとっても孤独で、最近は乱暴な子に嫌がらせをされることも多くなり、園に行きたがらない。男の子と女の子の身体能力は異なるのに、合同で運動もさせるのだから」
「入園前説明会でも園長は男女比の説明を意図的に避けていて、訊ねても『調整中で現時点では未確定です』と繰り返すばかり。いざ開園したら腰を抜かしそうだったわ。ウチの子のクラスは男児10人、女児1人!」
「娘のクラスは男児21人、女児は娘たったひとりだけ。娘は開園4日目から休みだして、怖い、もう二度と通園したくないと言っている」
2020年の中国小学生(2008~13年生まれ)の男女比は北京、上海、深圳などの巨大都市が52:48、地方大都市が54:46、地方小都市が59:41、農村部が63:37。男子生徒が多いが、女子が居づらくなるほどの差は無い。なぜ幼稚園の男女比が極端にアンバランスなのか。
3~5歳の幼稚園児は「一人っ子政策」が廃止されてから生まれた「第2子」も多く、2019年出生の新生児は1465万人で、うち59.5%が第2子、第3子だった。しかもその大半が男児という実態があるのだ。
「一人っ子政策」時代にもうけた子供が女児、あるいは同政策廃止後にもうけた第1子が女児なので、「第2子はゼッタイ男児!」とばかりに出生前判定などで調整しながら男児にこだわっている夫婦がかなり多くいる。
国家衛生健康委員会の統計によると、第2子の男女比は120:100、第3子の男女比は160:100だ。
2017年の総人口でも男性は女性より3300万人以上“余って”いる。結婚できない男性の急増が数年来の深刻な社会問題となっている。
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