中国経済を下支えしてきた地方政府の「競争システム」が民間不動産大手、碧桂園控股(カントリーガーデン・ホールディングス)のデフォルト(債務不履行)危機で揺らいでいる。不動産企業に土地を売り、資金を貸し、富を蓄えてきた地方政府が財政破綻の危機に直面したためだ。中国経済の司令塔である李強首相は地方政府に調査団を送り、事態収拾に乗り出した。
英フィナンシャルタイムズは12日、中国国務院(中央政府)が財政状態が悪化した10省に「負債解決調査チーム」を派遣したと報道した。調査チームには財政省、中央銀行、中国証券監督管理委員会(証監会)などの関係者が加わっている。
大手投資銀行ゴールドマンサックスは同日、中国地方政府の負債規模が94兆元(約1880兆円)に達すると試算した。
中国の国内総生産(GDP)に占める地方政府負債の割合は2019年の62.2%から昨年には76%へと急激に上昇した。
計画経済国家である中国は、34の省級行政区域の地方政府が「無限競争」するシステムだ。各地方政府がそれぞれ域内のインフラなどに責任を持ち、「経済成績」として評価を受ける。
不動産取引制限が全面解除された1998年以降、地方政府は土地使用権の売却による財源を確保した。不動産企業に土地使用権を売り、地方金融機関を通じて不動産企業に資金を貸し付けた。
2021年には中国の地方政府による財政収入の40%が土地使用権売却によるものだった。
しかし、碧桂園発の不動産危機に見舞われ、地方政府が揺らいでいる。過去3年間のコロナ対策費用支出で財政に余裕がない上、共生関係である不動産企業の不良債権を買い取ったために借金まみれになったからだ。
地方政府と不動産企業の土地取引を仲介する実業家は本紙に対し、「中国の地方政府は今、リング上で脱力したボクサーのようだ。碧桂園問題で不動産市場の長期低迷が起きれば、かなりの地方政府は資金源が枯渇し、地域経済に責任を負えなくなる」と話した。
地方政府がさらに心配しているのは、碧桂園問題で中小都市のマンション建設が一斉に中断され、住民の怒りが爆発する状況だ。
北京の金融業界関係者は「河南省鄭州市で昨年、住宅購入者が建設中断に反発してデモを行うと、地方政府が庁舎建築予算50億元を事態解決に充てた。今後そうした事態が頻繁に起きるだろう」と述べた。
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