プーチン政権下ではこれまでも、政権に刃向かった人物が次々と殺害される事例などが相次いでいた。
政権を批判したロシアの元スパイ、アレクサンドル・リトビネンコ氏は2006年、亡命先のロンドンで殺害された。体調を崩す直前に放射性物質のポロニウム入りの緑茶を飲み、3週間後に死亡した。捜査にあたった英当局は、プーチン大統領が「おそらく承認していた」と結論づけ、世界に衝撃が走った。
オリガルヒ(新興財閥)の一人ボリス・ベレゾフスキー氏は、プーチン氏を政治的に支援していたが決裂。13年に、亡命先のロンドン郊外の自宅で首をつった状態で見つかった。
15年には、野党指導者のボリス・ネムツォフ氏がモスクワ中心部で射殺された。エリツィン政権時代の第1副首相で、プーチン大統領の最大の政敵と呼ばれる人物だった。
ロシアの元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏は18年、英南部で娘とともに神経剤「ノビチョク」で襲われた。英国はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の将校による犯行だと断定した。
また、2010年代を代表するロシアの反政権派で、現在国内で収監されているアレクセイ・ナワリヌイ氏は20年8月、国内を航空機で移動中に意識不明の重体となり、ドイツの病院に搬送された。一命を取り留めたが、ドイツ政府は体内からノビチョク系の毒物が検出されたと発表。「ロシア政府だけが答えられる問題だ」としてプーチン政権に説明を求めた。
チェチェン紛争でロシア政府の残虐行為などを批判したロシアのリベラル紙「ノーバヤ・ガゼータ」のアンナ・ポリトコフスカヤ記者が04年、機内で出された紅茶を飲んで意識不明の重体に。
このときは奇跡的に回復したが、2年後に自宅アパートのエレベーター内で射殺体で見つかった。
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