ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、同国が国境警備隊の日と定める4月30日、国境警備隊員の職務をたたえる国家行事に出席し、「重要な戦いが間近に迫っている。われわれはロシアから領土と国民を解放せねばならない」と演説した。ウクライナ軍が近く大規模な反攻作戦を開始することを示唆した可能性がある。
ウクライナは従来、最激戦地の東部ドネツク州バフムトなどで露軍を損耗させつつ、米欧諸国から供与される主力戦車などを使って反攻に着手する方針を示してきた。米欧製戦車の引き渡しが着々と進む中、ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長も最近、同国メディアに対し、時期は機密だとしつつも「決戦が近づいている」と述べていた。
ただ、反攻が失敗した場合、領土の奪還が困難になる上、国際的な停戦圧力が強まる可能性もあることから、ウクライナは反攻に着手する時機を慎重に見定めているとみられている。
一方、バフムトでの戦闘に露軍側で参戦している露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏は、露軍事メディアが29日に公開したインタビューで「ウクライナ軍が5月15日までに反攻を始める可能性がある」と指摘。「(露軍側の)誰も(反攻を)真剣に受け止めていない」などと不満を表明した。複数の露メディアが伝えた。
プリゴジン氏は「1日8万発の弾薬をワグネルは必要としており、露国防省に1日4000発の弾薬を供給するよう求めているが、800発しか渡されていない」とも指摘。弾薬不足が解消されない場合、ワグネルはバフムトから撤退するとショイグ露国防相に通告したと明らかにした。ワグネルと露国防省の間では、足並みの乱れがこれまでもたびたび指摘されてきた。
産経新聞 2023/5/1 11:10
https://www.sankei.com/article/20230501-WRYNNXFCJRKPXHOZKPEI7UJIVI/
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