https://news.yahoo.co.jp/articles/f0180948043bb3d2c8341e32381376ec49e45a94
名古屋市内にある「エネオス」のガソリンスタンドの屋上で、店舗サブマネージャーのA氏が自殺をしていたことが、「 週刊文春 」の取材でわかった。A氏は実質的な店舗の責任者だった。
「荷物や車があるのに、姿が見当たらなかった。そこで店舗内を探したところ、屋上で亡くなっているAさんが発見されたのです」
こう語るのは、名古屋市内の「エネオス」のガソリンスタンド店舗関係者だ。
系列給油所数1万2000と、国内シェア1位を誇るエネオス。A氏が勤めていたのは、エネオスと商標登録契約を結び、ガソリンスタンドを全国で約130店舗展開する「三愛リテールサービス」だ。品川に本社を置き、従業員数は約300人、売上高は650億円にのぼる。
A氏は勤続22年のベテラン男性社員で、同社の接客サービスコンテストで最優秀賞を受賞したこともある。名古屋市内の店舗で、サブマネージャーとして働いていた。なぜ彼は、店舗で自殺したのか。同社従業員が語る。
「一つは過重なノルマです。会社から、洗車や車検、オイル交換などで毎日10万円の売り上げが目標とされたのです」
だがA氏の店舗は2、3万円しか売り上げが無い日もあった。理由の一つが社員数だ。店舗には通常、社員が2人いるが、A氏しかいないことが多かったのだ。
「3月までは2人いましたが、4月から三愛リテールサービスのB課長が店舗のマネージャーに。しかしB課長はほぼ不在で、Aさんが実質的な責任者として、1人で店を回していたのです。そのため、長時間労働が続いていた」(同前)
さらにB課長からのパワハラ疑惑もある。店舗のサブマネージャーが集う会議の場でのことだ。B課長はノルマ未達店の名前を挙げ、「どう責任取るんだ!」「手段選ばんから目標達成までやる!」と叱責し続けるという。
「長い時は叱責が1時間にも及び、Aさんはただそれに耐えるしかなかった」(別の従業員)
店舗責任者らに送られてきた苛烈なメール
小誌が入手した、B課長が4月末にA氏の店舗を含む複数の店舗に送ったメールでも、その苛烈さが見て取れる。例えばこんな内容だ。
〈いつまでも足手まといでは本当に本当に困ります!〉
〈マネージャーの目線酷い! そんな感覚じゃ、多分一生、改善しません!〉
そして、5月15日の朝――。アルバイトの男性が、屋上で亡くなっていたA氏を発見したのだった。
旬報法律事務所の佐々木亮弁護士が指摘する。
「会議での長時間の叱責や、乱暴な文言のメールは、パワハラと捉えられても仕方ありません。長時間労働が常態化していたのであれば、会社は安全配慮義務を怠っているといえるでしょう」
B課長、会社ともにパワハラの事実を否定
B課長に電話で話を聞いた。
――自殺はパワハラが原因か。
「事実ではない」
――叱責するメールもある。
「ある程度は、販売業ですから。ただ、誰か特定の人物をということはない」
――では自殺の原因は?
「仕事かどうか分からない」
三愛リテールサービスに自殺の原因などを訊ねると、こう回答した。
「詳細な回答は控えさせていただきますが、いずれにしましても、このようなことになり大変遺憾に存じます。ご遺族には慎んで(ママ)お悔やみ申し上げる次第です。弊社の労務管理において違法・不当な点はなく、また、ご指摘のパワーハラスメントの事実もなかったものと認識しております」
エネオスに自殺の原因について尋ねると、発生直後の状況については三愛リテールサービスから報告を受けているとした上で、こう回答した。
「ご訃報に接し、謹んでお悔み申し上げます。(ガソリンスタンドの)運営に関しては、運営会社様が行われているため、本件に関する弊社からのコメントは控えさせていただきます」
このほか、A氏の人柄、亡くなる直前にA氏が従業員に語っていた長時間労働の実態など、6月29日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および6月30日(木)発売の「週刊文春」で詳報している。
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